【読書】小暮写真館2 世界の縁側/宮部みゆき あなたは誰かの家の縁側に座っているだろうか
世界の縁側に何がいるのだろうか
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小暮写真館の2冊目。
またも花菱が活躍する。
ひょんなことから、昔写真館だった建物に住むことになった主人公の花菱は、写真にまつわる事件に巻き込まれるようになった。
彼のところに持ち込まれる写真は、少し変わっている。
所謂、心霊写真と呼ばれるものだ。
第1巻で彼は、心霊写真の謎を解き明かしてしまった。
まさに解き明かしてしまったのだ。
そのせいで彼の元に依頼がどんどん持ち込まれるようになった。
「花菱くんは強力な霊能力者で心霊写真の浄化をしたことがあるって話だよ」
今回もその一つ。
何が起きたか、もちろん今度も心霊写真だ。
そして人の内面に踏み込む問題がそこには待っていた。
たかだか高校生で何が出来るか。
いや高校生だからこそできるということもあるのだ。
子供が頑張ってるのを見ると元気になる。
そして子供がまともな事を言ってるのを見ると、しょうもない大人になってしまったと自分を嘆いたりもする。
でも、そういうことを気づかせてくれるのが小説というものの魅力だと思っている。
思いは実現する、実現したように見える
「人間が心に想うことは、思考であれ感情であれ、それ自体が生き物のようなエネルギー」
考えや概念が写真に写る。
なぜならそれらがエネルギーを持っているから。
だから思いが見えるのだ。
思いが形になればどれだけいいのだろうか。
そういうものを羨ましく思う気持ちが、逆に心霊写真を作り出しているのかもしれない。
真っ直ぐな言葉を投げかけられるか
「あんた、責任を取らずに逃げたんだ」
高校生の女の子がこんなことを言うのだ。
大の大人に向かって、こういうことを言えるの自分の中に軸があるからだ。
正義感の言葉か、はたまた、優しさの裏返しか。
思いやりの塊か。
さて、あなたの中にはあるのだろうか。
「須藤社長と奥さんの家の縁側に座ってんだよ」
この言葉、最後まで読んでからもう一度噛み締めて欲しい。
あなたは誰かの家の縁側に座っているだろうか。