aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】スタフ/道尾秀介 人々の寂しさ、言葉にできない何か

人が抱える寂しさを気づけるだろうか

スタフ staph

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主人公は都会で移動デリを営む女性、夏都。

彼女は姉の子ども、智弥と暮らしている。

 

夏都は旦那と離婚し、一人で移動デリを営んでいる。

移動デリは別れた旦那の夢であり、仕事であったものの、彼女はそれを引継いでいる。
なぜだろうか。

負けず嫌い、そして逃がした魚は大きいのだというアピールだろうか。

 

一方智弥は人付き合いが苦手な中学生。

パソコンばかりやっており、必要最低限の会話はせず、感情もあまり表に出さない。

 

二人で不思議な生活を続けている中、事件は起こる。

夏都がさらわれる、ランチワゴンごと。

そこで出会ったのはカグヤというアイドルであった。

彼女に頼まれて、彼女の姉である女優のために、一肌脱ぐことになってしまう。

 

テンポよく進む物語、だが、ところどころに違和感がある。

頼んだのはカグヤなのだが、皆それぞれに目的がある。

本当の主役は誰なのだろうか。

それがわかる時に、物語は違ったものになる。

 

家族が別れて暮らすことが珍しくなくなった現代において、人はどのような悩みを抱えるのか。

人は仲間を見つけたがる。

そして、人は何かになりきることで恐れや不安を見えなくする。

人々の寂しさ、言葉にできない何かをこの小説は見せてくれる。

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