aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】ジェノサイド(下巻)/高野和明 楽しかったではなく、すごい体験した、そう思える一冊

遠い世界の片隅で、彼らはそれぞれ戦いを続ける

ジェノサイド 下 (角川文庫)

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ケントに託された研究には想像を絶する狙いが隠されていた。

彼が作る特効薬、それを求める患者は世界に10万人以上。
その中の一人がイエーガーの息子だ。
人間を上回る知性を持つ「彼ら」によりこの作戦は全て支配されていた。
その中で人間達は何ができるのか。
そして彼らに立ち向かう人間は正しいのか。
人間の醜さと、それを巧みに利用した彼らの知性。
軍配があがる先は明らかである。

 

遠い世界の片隅で、彼らはそれぞれ戦いを続ける。
敵は何だ、それは未知の人類ではなく人間の醜さだ。
そして人間が作り出した地獄である。
人間を俯瞰することのできる他の生命体から見た世界。
それは我々に大きな示唆を与えてくれる物語であった。
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【読書】ジェノサイド(上巻)/高野和明 驚天動地、人類の未来を賭けて

世界を救うのはそこら辺にいる大学院生

ジェノサイド 上 (角川文庫)

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2012年このミステリーがすごい第1位。

舞台は世界、日本、アメリカ。
世界規模で展開する超ド級のエンタメ小説である。
イラクで戦うアメリカ人傭兵、日本で薬学を専攻する大学院生。
全く繋がりのないように思える彼ら二人。
彼らは、大きな計画の中でつながっていた。
アメリカ人傭兵の息子は難病に侵されていた。
息子の手術代を稼ぐために、彼は危険を冒して戦地に赴き、傭兵として働いていた。
一方、日本の大学院生は、突如父親を亡くす。
悲しみに打ちひしがれるなか、彼は父親の残したメッセージを見つける。
大学教授だった父親は、東京の片田舎に小さな隠れ家を持っていた。
そこには不思議な機械と現代技術ではありえないほどのハイテクシミュレーターが残されていた。
父親はそこで何をしようとしていたのか。
彼は何をしなければならないのか。
それは世界を救う計画の一部であった。
その最中、アメリカの諜報機関は、不思議な情報を得る。
未確認生物がアフリカに現れたと。
今まさに、世界で起こりうるかもしれない出来事。
それを大きなスケールと正確な描写で描く本作。
そこにあるかもしれない未来が待っている。
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【読書】 依頼人は死んだ/若竹七海 このミステリーがすごい!

動機は、「たぶん暑かったから」

依頼人は死んだ (文春文庫)

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女探偵、葉村晶。
彼女に持ち込まれる事件は、少し切なく、そして少し怖い。
 
2016年、女探偵・葉村晶シリーズは、このミステリーがすごいで2位を獲得。
シリーズの第1作がこの作品である。
アメトーークの読書芸人でも紹介されたらしい。
ミーハーな僕としては読まざるを得ない。
テレビなどで紹介される小説、逆に最近そのような逆輸入が増えてきた。
読書好きとしては好ましい限りである。
なぜなら、絶対自分が手に取らないような本を手に取る可能性が増えるから。
本の面白さを伝える、そして伝えてくれる媒体というものは人を豊かにする、そう僕は思っている。

 

 
主人公は仕事はできるが少し変わった女探偵。
本作の魅力は、切れ味鋭い短編のつながりと流れのうまさ。
誰かに狙われていると妄想を繰り返す女性、念願の詩を出版して順風満帆の生活を送っていた詩人、突如送られてきた癌の通知に当惑する女性。
一癖も二癖もあるような依頼人が彼女の元に押し寄せる。
そしてその裏側にある事件の奇妙な真相。
構成の上手さ、それが本作の魅力であろう。
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