【読書】横浜駅SF/柞刈湯葉 横浜駅は常に工事が行われている状態こそが完成形なのだ
改築工事を繰り返す横浜駅。横浜駅が自己増殖を開始し、それから数百年後の世界。
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日本の本州は99%が横浜駅となった。
その中でJR北日本そしてJR福岡の二社が防衛戦を続けていた。
そんな世界のお話である。
それを使って横浜駅の中に入り込むことができた。
横浜駅には何があるのか。
知らず知らずのうちに彼は人類の未来を担うことになってしまう。
非常にキャッチーなタイトルだと思う。
そしてそれにまんまと乗せられて買ってしまったのが私。
題材はすごく現実的なものである。
ただしそれが想像できないほど非現実に近づいていく。
支配された社会と、それに立ち向かう人々、それに迎合をしてしまった人々。
不思議なもので、この設定がすっと入ってくるのはなぜだろう。
なんとなく駅という空間に対し、人を飲み込む恐ろしさというものを感じているからなのだろうか。
人が駅を作っているのか駅が人を作っているのか。
だんだんわからなくなってきたり。
とりあえず言えるのは満員電車は嫌いです。
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【読書】Φは壊れたね/森博嗣 真実とは、決して完全に目の前に姿を現すことはないのだから
「自分が掴んだと思える真実とは自分が作り上げた都合のよい真実である」
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森博嗣のGシリーズ。
その死体は、密室の中でY字の形につられていた。
背中に作り物の翼をつけ、胸には銀色のナイフが刺さっていた。
死体発見の一部始終がビデオに録画されていた。
まるで一つの作品であるかのように。
そしてそのビデオのタイトルにはこう記されていた。
西之園萌絵、山吹ら学生達と事件の解明に挑む。
本作はS&Mシリーズの主人公である西之園そして犀川も登場する。
彼らがまたも活躍するこのシリーズ。
いつにもまして密室が不気味である。
密室というのは人間の先入観と没入感が作り出す仕組みである。
それを作るのも解くのも人間なのだ。
そもそもが密室で殺人すること自体が不可思議なのだ。
なぜなら密室で人が死ぬのは自殺しかないのだから。
それ以上はただの顕示欲に過ぎないのだから。
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