【読書】夜を乗り越える/又吉直樹 なぜ本を読むのか
その問いかけに又吉が答える、答えるために悩む
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火花が芥川賞を受賞したことで、お笑い芸人だからフィーチャーされている。
そう思っている人が多いのだが、僕は彼の小説が結構すきだ。
むしろ、色眼鏡なしに読んで欲しいと思う。
自分が悩んでいたこと、苦しんできたこと、意外と本が解決してくれたり、道筋を示してくれたりする。
この主人公も同じ悩みを抱えていると共感したり、自分だけじゃないのだと安心したり。
時には自分の考えや価値観から離れすぎているために、理解ができないこともある。
だが、そこで終わってはもったいない。
自分の様々な経験がものを言うのだ。
昔読んでつまらなかった本が、今面白いと感じることが多々ある。
成長を実感させてくれるとともに、自分の未熟さを教えてくれる。
いわば先生のような存在と言える。
本作がきっかけとなり、夜を乗り越えることができる人は少なくないのではなかろうか。
人間はキャラ作りをしている
「自分はすごく無理して明るくしている」
猫をかぶるといった表現をよく使う。
人は誰しも、猫を被って、使い分けているのだ。
職場では上司にヘコヘコしたり、無理に明るく振る舞ったり。
でも無理をしてないだろうか。
小説の世界では自分とは違う人間になれる
「あらゆる小説に触れることによって、視点を増やすことができました」
小説は他人の視点になれるツールである。
疑似体験といってもいい。
他の人が体験したり考えたことを、本を通して理解することができる。
自分とは違った視点があったり、新しい考え方を発見したり。
本を読むことは、視点を増やすことなのだ。
共感だけでなく、異質感も取り入れたい
「自分の感覚にはまるものがおもしろい、それ以外はおもしろくないというように読んでいくと、読書本来のおもしろさは半減してしまうと思います」
好きなもの、慣れているものだけを読んでいると、自分の視点を広げるための本を拒むことになってしまう。
もちろん、自分を肯定してくれる話が好きな人は多いと思う。
だが、せっかくだから他の視点や意見を取り入れてみてもいいんじゃないだろうか。
柔軟に、凝り固まっていてはもったいないのに。
自分の背景と見つめ合うこともできる
「自分が生きてきた人生や生活の実感と結びついて初めて、それは補強されます」
小説のなかの言葉がすっと胸の中に落ちること。
自分の中でもやもやしていたものが、すっきりすること。
そのような形で補強されていくのだ。
自分の芯を確固たるものにするために、本は有用である。
頑張っている人間は馬鹿にされてはならない
「ガリ勉とか文化人と呼ばれる人やそれに類する人を馬鹿にしていいという社会通念はなんなのでしょう」
頑張っているものを頑張っていない人間が笑う。
それが許されるのはなぜだろうか。
少なくとも頑張る人間が笑われなくなれば、もっといい社会になるはずだ。
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