【読書】この闇と光/服部まゆみ 世界は自分の裡にあるのか、外にあるのか
ミステリーファンをうならせるミステリー
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本屋のポップに惹かれ、購入。
ネタバレになってしまうため多くは書けないが、唸ることは間違いない。
物語の序盤は、王女と父親である国王の話でスタートする。
王女は盲目であり、また、父親とともに森の奥に囚われている。
戦争に負けた結果、相手国の兵士に囲まれ、暮らしている。
物語は進む中、ところどころに違和感を感じる。
頭をかしげながらも、読み進める。
徐々に明らかになる真相。
そして本当の真相。
世界が反転する。
どんでん返しが好きな人には、迷わず読んでもらいたい一冊。
経験があるからこそ、できること
「人からあまり優しくされたことがないから、人にも優しくすることができないのだ」
王女は、敵国の召使に世話をされている。
敵国のため、扱いはぞんざいであり、優しくされることは少ない。
そんな中、父親はこういう。
召使は可哀想なんだよと、そして優しさを受けている王女は幸せなのだよと。
囚われの身ながらも優しく生きていく姿。
健気な王女
「私は父の負担になっているのだ。でも、どうしたら良いのだろう?」
盲目の王女は悩む。
自分がいることで、父親に迷惑をかけているんじゃないだろうかと。
子どもながらに思い悩む。
小さな王女に頑張れと、エールを送りたくなる。
弱いからこそ何かに頼りたがる
「弱いから武器を身に付けていなければいられないのだよ」
敵国の兵士たちは武器を持っている。
対して、囚われている王女と父親は丸腰だ。
自分たちを奮い立たせるために、再起を図るためにも耐え忍ぶ。
今の世界情勢にも同じようなことが言えるかもしれない。
世界が変化したときに、人は何を思うか
「僕を取り巻いていた世界・・・僕が慣れ親しんでいた世界・・・それは、ここではだれからも相手にされない・・・」
自分の世界と周りの世界が変化した。
一変した。
正しいのは自分か、それとも世界か。
悩みの渦中に突き落とされる。
「大概の人々は現実を、自分の外に在るものとして視ていた。だが父と僕にとって、それは自分の裡にあった」
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