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【読書】殺人犯はそこにいる/清水潔 調査報道のバイブルと呼ばれた事件ノンフィクション

苦しみの中から絞り出される声を聞く

殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

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「真犯人が、今もどこかで平然と暮らしている」

隠蔽された事件を追うジャーナリストのノンフィクション物語。

とある企画で有名となっている本作。

分厚い、そしてなかなか手に取りづらいタイトルであるものの、

いざ読み始めると、ページをめくる手が止まらない。

 

10年以上も無実の罪で逮捕され、釈放された人がいる。

だが、その結果、真犯人は野放しである。

それはなぜか。

大きな力である検察が自分のミスを認められないから。

認めてしまうと不都合な真実が出てきてしまうから。

 

ジャーナリズムとは権力外のところを報道することである。

権力に屈するジャーナリズムに対する怒り。

そして小さな声を拾うことこそが、ジャーナリズムなのだ。

引き返せない原因は何なのか

「根拠と結論が逆転していたのだから」

操作を指揮していた幹部の発言は、容疑者が犯人であることが前提であった。

その容疑者がなぜ犯人なのかを問うているのに。

予定調和、既定路線。

過去の過ちが既に引き返せないところまで来ていた。

 

 

報道の力とはなんだろうか

「評価は不要。とは思うのだが、それでは日本は動かない」

報道とは、誰かが評価することで成立する。

それは、日本という国が周りの評価に左右されすぎているという現実。

くだらないけれども、そうでなければ日本に影響を与えることができない。

悲しいけれども、情報が増えすぎた今、人の目に触れなければどうしようもないのかもしれない。

 

「公権力と大きなメディアがくっつけば、こうも言いたい放題のことが世の中に蔓延していくのか」

警察の発言を担保にメディアは報道を続ける。

メディアが自分たちの責任を回避するとこうなってしまう。

名前を出さないマスメディアの恐ろしさを感じる。

 

科学的という言葉が無駄に使われる

「再検証もロクにできないような方法を科学的とか呼ぶな」

DNA鑑定の結果で疑われる容疑者。

その正しさを証明するための再検証ができない。

科学とは何なのか。

再現できなければただの嘘、もしくは偶然。

DNA鑑定の神話に踊らされ続けてしまった。

 

本来のジャーナリズムとは

「無罪になっても誰もが無実を信じるわけではないという現実」

冤罪であり、無実になった。

だが、世間はそう思ってはくれない。

捕まるのは何かしらの理由があるからだと。

個人と公権力、どっちが正しいと思うだろうか。

権力が報道されたくないことを報道する、それがジャーナリズム。

 

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