aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】スリーパー/楡周平 本当の恐怖がこの社会を見舞うのはそれからだ

極めて現実感のあるスパイ小説

スリーパー (角川文庫)

新品価格
¥830から

題材の中には、アメリカ、中国、北朝鮮

そして普天間基地、米軍、放射能

今の日本を取り巻くキーワードばかりが詰め込まれている。

 

本作の主役はCIAの秘密工作員である由良。

彼は日本人でありながらアメリカに尽くす。

彼が立ち向かうのは、テロリスト。

 

日本の米軍基地がテロの標的にされた。

それを食い止めようと権力と暴力を使う。

いかに日本が無力か、そしてなめられているか、高いリアリティの下で描かれる。

街は大きくなり、活気は薄れた

「街は確実に大きくなったが、活気がない。人の顔から生気というものが失せている」

久々に日本に降り立った由良はこう語る。

人々が閉塞感に包まれた国において、元気がない姿を憂う。

我々はバブルを知らない。

好景気というものを知らない。

だから虚ろな目をしたサラリーマンたちの顔しか知らないのだ。

どうしたらその意識が変わるのか。

 

 

資本主義の末路

「まるで焼き畑じゃありませんか」

先進国の企業が新興国に進出し、そこでの安い労働力を買い叩く。

そして労働者が裕福になってくると、そこを手放し次を探す。

お金しか見ていない、地域のこと労働者のことを考えていないのだ。

それが資本主義であり、世界はそれを基に動いている。

そろそろおかしいと思うべきなのではないだろうか。

人が幸せになるために企業があるのではないのだろうか。

 

仕事に対する責任感は倫理観と同じ方向を向いているべき

不都合な真実には目を瞑り、最悪の事態など起こり得ないと考える」

先の震災でも明らかになってしまった日本のスタンス。

本質から目を背け、楽観視をする。

合議性は日本のいいところでもあり悪いところでもある。

なぜなら、誰が決めるのか、責任の所在を不明確にすることとの背中合わせだから。

 

なぜ、ニュースは直ぐにホットでなくなるのか

「圧倒的多数の日本人は、放射能のことにも震災のことにも、もはや無関心」

直ぐにニュースは報道をしなくなる。

それは国民が興味を失うかであろうか、それとも無関心にさせたいのか。

日々新しいことが起こり、その中には重要でないものとそうでないものがある。

その判断をすることすらできなくなってしまったのだろうか。

 

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