【読書】シルクロードの滑走路/黒木亮 商社マンが主役、航空機を売るお仕事小説
商社マンが主役の航空機を売るお仕事小説
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主人公は商社マン。
ビジネスの対象は、航空機。いわゆる航空機ファイナンス。
作者は、都市銀行、証券会社、総合商社に勤務経験のある黒木亮。
真に迫った、緊迫感のあるディールが描かれている。
途上国とのビジネスにおいて、欲望が絡みあう。
馴染みの薄い航空機ファイナンスに関しても、わかりやすく描かれている。
商社のビジネスはこういうものだと教えてくれる。
官僚が国民を支配していると意識と、自分に被害が及ぶことを過度に怯える。
挑戦や進歩とは正反対の思想を持っている。
一度染み付いたものを変えるのは難しい。
特に、他人に指摘されて治るようなことは稀である。
自分で気づくことが大切なんだけれども、それもまた難しい。
見つけたら反面教師にしよう。
「また学校に行けると、涙が止まらなかった」
教育にはお金がかかる。
自分が教育を受けていること、受けたことは当たり前ではなく、非常に恵まれたこと。
「よかったなぁ、お前、行く所があって」
整備している機体のリース期間が過ぎて、次のリース先に移ることが決まった際に航空機の整備士が言ったセリフ。
手塩にかけたもの、愛情を込めたものがあるというのは羨ましい。
それが、仕事の結果であることがなおさら羨ましい。
そんな仕事をしたい。
「人生は一幅の絵のようなものだ。わたしは誰よりも大きく美しい絵を描きたい」
大きな志と大きな夢をもったキルギス人女性のセリフ。
目指すことがあり、それに対して無我夢中になる人は応援したくなる。
そうやって人を魅了する人こそ、人望がある人だ。
「表面は穏やかだが、その下に哀しみが溢れ、自由への渇望が渦巻いている。
暗い底なし湖のような目だ」
仮面をかぶることを余儀なくされ続けた結果、染まってしまった。
社会という巨大な恐ろしいものに。
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