【読書】屍者の帝国/伊藤計劃・円城塔 屍者復活の技術が普及した世界で、死を追い続ける
屍者復活の技術が普及した世界、屍者とは何かを追い続ける
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映画のCMで知る。
「求めたのは、21グラムの魂と君の言葉」
このセリフにしびれて原作を読み始める。
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時間とは、生命とは何かを考えさせられる一作。
「一度生まれた技術とは、誰かの都合で停止させることのできないものだ」
科学技術の真理とも言える言葉だと思う。
自分が止めても他の人が続けてしまう。
だからこそ慎重にならなければならない。
「(技術革新により便利になる前の)日本ではまだ時間の流れがゆるやかだ」
技術発展により人間や物、情報のスピードは上がる。
それにより時間の流れも相対的に早くなる。
便利になりすぎるがゆえに時間に追われるようになってしまう現代。
便利とはそもそもなんだろうか。
「不可逆であるが故に時間は生じ、時間の不可逆により罪は生まれる」
時間という次元が生者と屍者を区別する。
時間があるからこそ、人は生きていく。
「生存における思考の優先度は低い」
そもそも考えるということは、自己の生存が脅かされていないことが前提となり、行われる。
日本では当たり前になっているが、そもそもそうではないことを昨今のニュースを見ながら感じる。
「脳は空よりも広い」
人間は脳を通じて空を見るのだから。見て理解するということは、脳の中におさめるということ。
不思議な感じをうける言葉。
「生者が屍者と異なるのは、自分自身の行動を自分の意志によるものだと、あとから勝手に考えて自分を騙すだけなのだ」
自分が考えたという幻想を信じることで人間は自分を正当化する。
人のまねではなく、自分の存在価値はここにあると。