【読書】マスカレード・ホテル/東野圭吾 理系トピックが含まれていない東野圭吾の魅力が光る
今度の舞台は高級ホテル、刑事がホテルマンに扮し事件解決に奔走する
今回は理系の話ではない。
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東野圭吾の中では珍しく、科学や技術といったテイストが盛り込まれていない。
だが、相変わらずテンポはよく、スラスラと流れる物語にのめり込むのは間違いない。
本作はある高級ホテルが舞台となる。
そこで刑事が潜入捜査を行なう。
なぜならそこで殺人事件が起こるおそれがあるからだ。
警視庁捜査一課のエリート刑事がホテルマンに扮する。
ホテルの従業員たちの動揺は手に取るようにわかる。
そんな中、ホテルでは毎日不思議な事件が起こる。
刑事とホテルウーマンが協力しながら謎を解き明かしていく。
最後にはまさかというような仕掛けも待っている。
科学と哲学の問題を投げかけてくるいつもの東野圭吾も好きだが、
こういう異なったテイストの話も面白い。
個を超えるチームの強さ
「私共は従業員全員でお客様へのサービス提供に努めております。」
「ですから、お客様に喜んでいただけたとしても、誰か一人の功績というわけではありません」
一人の個ではなく、全員でチームで働くことの見本のような発言。
全員が協力して、初めて出来上がるホテルという空間。
自分の仕事に誇りをもち、なおかつ組織での行動に徹することができる。
個を超えたチームの一つの形。
我を消すだけのチームではない、お互いに高め合うチームとしての強さを見せられる。
「自分が目立つことは一切考えず、何をすれば人のためになるか、を冷静に考え、実際に行動に移せる人物だ」
チームで行動するには、互いが互いのためになる事を考え動く事が必要だ。
それができなければ1+1が2以下になってしまう。
お互いがいいところを支えあい、悪いところを補い合うことこそがチームの良さであり、同じような能力を持った人が集まっただけではただの集まりにしかならない。
組織で動くことが有益になるのは、そのなかにいる人達次第だ。
親切が当たりまえになってしまう世の中
「庶民というのは、一度御馳走を出してもらうと、いつでも出してもらえると思い込み、出てこないと文句をいうものだ」
一度親切にしてもらったら、次も同様にしてくれなければ困るという意識。
常に前回のラインを求め、それ以下になってはならないと思い込む。
親切にすることが裏目に出てしまうのであれば、皆それをやらなくなるのは明らかだ。
与えられることが当然だと思い込むのも良くないのであろうが、
常に成長を求められる市場経済と同じような匂いもする。
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