【読書】空白を満たしなさい/平野啓一郎 三年前に死んだ人間が帰ってきた
三年前に死んだ人間が帰ってきた
死因は自殺。
だが、本人に自殺する理由がないし、思い当たらない。
生き返って自殺の原因を探す、その先に見えるものは。
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前を向くために支えあう
「人間一人死ねば、その一人分の穴が開く。
その穴をいつまでも放っておくわけにはいかんだろう。
みんなで一生懸命埋める。じゃないと、一々その穴で躓くことになる。」
ふとした瞬間、いなくなった人の事を考える。
思い出して悲しくなる。
けれども前を向くために、みんなで一生懸命支えあう。
躓き過ぎてはいけないけれども、埋めすぎてもいけないんだろうな。
幸せな様子を思い出して、自分も幸せな気持ちになれるように。
そうありたい。
後悔のないように生きること
「穏やかに、ゆっくりと、長い坂を一歩ずつ降りていくように、祖母はこの世界から遠ざかって行きつつある。」
老いるということは、自分が世界から遠ざかっているのを実感することだと思う。
老いるということは、いろんなことを悟り、受け入れていくことだとも。
死を身近に感じることは少ない。だからこそ、突きつけられた時にドキッとする。
後悔のないように生きること、それが必要。
互いを見下し合うのではなく、認め合う
「人間は、生きていくためには、どうしても自分を肯定しなければならない。」
自分を肯定しなければ、そのうちおかしくなってしまう。
肯定できる自分であるか、無理やり肯定するか。
肯定できる自分になるために、現状から踏み出すことは非常に勇気のいることだ。
だが、一度きりの大切な人生こそ、胸はって肯定するべきものであろう。
「今の日本は、何をやっても褒められないから、辛いよ」
何がそんなに褒められないと感じる原因なのだろうか。
学生時代、がんばって勉強をしていると、胸を張ってアピールする人間は少ない。
何となく後ろめたい気分になるというか、他人から、後ろ指さされるから。
あいつ、何頑張っちゃってるんだろうね、とか、頑張ってる割に合格できてないとか。
ネガティブな方向に、足を引っ張り合ってしまうからだろう。
いいことはいい、そうやって認められることが自己承認欲求。
互いを見下し合うのではなく、認め合う。
ともに上を見る、そんな世の中にどうしたらなるのだろうか。
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