【読書】火車/宮部みゆき クレジットカードの背後に潜む恐ろしさ
カードって怖い!
クレジットカードが普及した現代社会、その背後に潜む恐ろしさを描く。
行方不明になった婚約者を探すことになったが、果たして誰なのか。
不安に襲われながらも、流れるようにページをめくらざるを得ない。
「大企業を動かすのは、コンピュータによる自動操縦装置がついたジャンボジェット機を飛ばすようなものだ。
だが、こんな零細以下の会社は、言ってみればロートルのプロペラ機だ。(中略)コンピュータはあてにできない。」
大企業と小さな企業、その違いは、経営者の一つの選択がもたらすことの大きさか。
小さな企業では、毎回の選択に潰れるか否かがかかっている。
そういう意味では、いい経営者というのは零細企業から生まれるのだろうか。
「この業界自体が、壮絶な自転車操業をしているからなんですよ。(中略)
最後にババを引くのが自分のところでなければいい」
恐ろしい。全くもって恐ろしい。
労働の対価ではなく、資本を増やすことだけに追い立てられてしまう金融業界。
金融は新しい目を見つけ育てることが本来の役目であるが、
利益ばかり追求すると、正反対の方向を向いてしまう。
そうなると、金融機関は株式会社でないほうがいいのではないだろうか。
非営利組織であることが本来の彼らの仕事をやりやすくするのでは。
「現在の東京は、人間が根をおろして生きることのできる土地ではなくなってしまっている。」
東京は地方から人が出てきて、そして地方に人が戻っていく。そんな土地だと感じる。
ずっと東京に住んでいる人もいるのだが、地方から集まってくる人のほうが多い。
大学生、新社会人など集まりやすいものではある。
しかし、そこで根を下ろす人は少ないのだろう。
大都市は便利ではある。ただ、何となく冷たい印象があるのは拭い切れない。
満員電車でイライラをぶつけあっている、そんな場所。
「情報を追っかけて、みんな浮かれてる」
僕は流行という言葉が嫌いだ。
流行は金を設けるために作られているもの。
今年の流行はー、となって情報誌がそれを持ち上げて、
新しい消費を無理やり作り出していく。
いつの間にか、自分で考え判断することをやめてしまい、
流行という情報に身を委ねてしまっている、そんな人が多い。
「子供のときから好きなことがあって、その好きなことに才能があって、そいで、そこに進むことに邪魔が入らなくってさ。
そういうの、いちばんの幸せじゃない」
子供の時の夢を叶えれること。
それって本当に難しいと思う。
自分自身の限界だけでなく、その他にもいろいろな制約が出てきて、
すべてがうまくいってようやく叶うのだ。
「他人のすることが、なんでもかんでも気に入らないっていう人が、世の中にはいるんだよ」
他人より少し恵まれていると、疎まれ足を掴んで引き釣り降ろされる。
そんな泥仕合をするのではなく、前を向くことが大事なんだ。
![]() |
価格:1,069円 |