【読書】月物語/西尾維新 100%趣味で書かれた将説です
3月のライオン12巻の特装版として、西尾維新の小説がついてきた
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零は思わず話しかけてしまう。
彼女は将棋盤を題材にした暗号を説くためにやってきた。
不思議な盤面に零は絶句しながらも、翼とともに解き始める。
物語の世界観や毛色が全く違う両作品が織りなす物語。
本編とは全くの別物と考えるのがよい。
だが、面白い。
天才とは
「天才ってどういう化物を指すんだと思う?」
翼から出てくる言葉には力がある。
自分が元々天才だったから、そして零も同様だから。
自分が含まれるカテゴリについて、平然と化物と呼称する。
零は定跡という王道とそれを気にせず突き進む覇道を思い起こす。
どちらが正しいわけではないが、他を羨ましく思ったりもする。
天才とは自分の世界で完結している人間なのだろうか。
メタ的を有する登場人物たち
「世界観が違うのだ」
西尾維新作品において登場人物の魅力はこのような発言だと思う。
そう、メタ的発言。
自分が小説の中の登場人物だと認識しており、またお互いが他の物語から生まれ
たものであることも知っている。
もちろん、人によって好き嫌いはあるだろう。
これが小説のエンターテイメント性の一つとも言えるのではないだろうか。
伝わらないもどかしさと、それをバッサリ切る羽川翼
「どんなに通じようとしても、どうやって伝えようとしても、通じず、伝わらない言葉はある」
本作のネタである将棋の盤面をモチーフにした暗号。
限られた言葉の中でやりとりをする中、一方は伝えようとして投げ込んだ。
しかし、もう一方は中身を理解せず諦めてしまった。
情報の非対称性が生み出すすれ違い。
本来であれば、もっと美しい結果が生まれたかもしれないのに。
もどかしい気持ちになる一方、翼はリアリストな発言をする。
ちゃんと喋れよ、と。
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