【読書】タックスヘイブン/橘玲 世界を股にかける国際金融知的小説
東南アジアで最も成功したファンドマネージャーが転落死
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同時に、大手プライベートバンカーが失踪。
そして消えた1,000億円。
怪しげな男たちが暗躍する世界に、巻き込まれたのは誰だ。
巻き込んだのは誰だ。
非常に中身の濃い国際金融小説。
誰が主人公なのかわからないほど、魅力に溢れた登場人物が現れる。
知的だが底が見えず恐ろしい古波蔵に惹かれる。
人の命よりも金の方が重要視される国際金融の裏の世界を垣間見ることができる。
金にとらわれてはいけない
「まだ人生を楽しみたいからな。欲はかかないことにしてるんだ」
古波蔵のセリフ。
厭世的なのか、享楽的なのか。
だが、金を稼ぐ仕事をしていながら、稼いだ金にとらわれていないところが魅力の一つであろう。
生き残るために
「生き残るためにはルールを習得し、コマの配置をすべて把握して、先回りしてゲームを支配しなきゃならない」
社会はゲームである。
そこにルールがあるからこそ、そのルールの枠内で立ち回る。
会社の規則だってそう。
いかに上手く利用できるか。
ルールを知ってさえいれば、なんだってできる。
逆に知らないことが罪である。
自分の置かれている場所がどういう論理で作られているのかを把握することこそが社会に出るということなのだ。
完璧なものに触れることの難しさ
「なにもかもがあまりに完璧すぎると、それを壊すのが怖くなるんだ」
上手く行っているからこそ、触れずにそっとしておきたくなる。
これ以上良くなると感じられないからこそ、触れることができない。
あまりに完璧過ぎるものからは、皆敬遠しがちだ。
自分がいまいい環境にいると感じているときも同じかもしれない。
その場所から動かないほうがいい。
だけれども向上心や興味で動いてしまうかもしれない。
失ったあとに気づく。
「わたしたちはみんな閉じ込められている」
「自分のなかの熊を解き放たなくちゃいけない」
社会の中で上手く生きようとするために、自分を檻の中に入れてはいないだろうか。
自分を殺して、周りに溶けこむことが空気を読むこととも言える。
いつの間にか誰も望んでいないのに、変な方向に行っていることはないだろうか。
自分という我を完全に消してはいけない。
譲れるところと譲れないところ、バランスを取らなければいけないのだ。
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