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【読書】日本の空はこう変わる 加速する航空イノベーション/杉浦一機 公と民の性質が求められる航空会社

公と民の性質が求められる航空会社

オープンスカイ、LCCの台頭、スカイマークの破綻、空港民営化。

近年、航空業界の動きは激しい。

日本の空はこう変わる―加速する航空イノベーション (交通新聞社新書)

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航空業界は、国の政策とも密接に関係している。

古参の巨大キャリアの存在と高い参入障壁。

規制緩和により障壁は小さくなり、新規参入も増えてきた。

LCCの台頭もその一つ。

 

LCCと古参の差別化と、市場原理に身を委ねすぎることによる不採算路線の消滅。

営利企業の場合、不採算路線からは撤退するのが定石。

しかしながら、航空は地域の足でもある。

 

公的性質を有しながらも、効率化を進めなければ、赤字を垂れ流すだけ。

公の性質と民の性質を両立しながらの関与というのは非常に難しい。

 

 

中途半端な規制緩和

「日本の自由化は規制緩和にとどまっている。安全規制と経済規制の線引きをせずに曖昧にしたまま」

米国の場合、安全規制は国が管理し、経済規制はすべて撤廃した。

自由化という名前こそ似ているものの、中身は全く違う。

 

規制緩和と撤廃、日本がこれらの線引きが上手くできない原因はなんだろうか。

未だに利権が蔓延っているからか

安全は譲ってはいけないけれども、経済的な参入障壁なんて不要。

 

 

差別化の方向性

「サービス強化と連合でサバイバル」

古参であるフルサービスキャリアは、サービスの強化に舵をとる。

LCCサービスを切り捨てる方向であるから、差別化は明確。

そして、アライアンスによる囲い込みを実施する。

スターアライアンスに代表されるマイレージの提携などだ。

 

「急速に勢力を拡大する中東キャリア」

中東のハブ空港が強い。

サービスと施設に十分な投資を行い、人とモノを中東の空港に集める戦略が成功した。

南米や欧州への旅における中間地点になり、ハブとして使い勝手が良い。

いかに差別化を図り、人とモノを集められるか

 

例えば、米国大手3社はユナイテッド航空デルタ航空アメリカン航空

彼らは統合を繰り返して、3社に集約された。

日本の銀行業界のようだ。

数がものをいう業界は向かう方向感も似ているのだろうか

 

「サービスコンセプトは空飛ぶ電車と説明されている」

日本のLCCであるピーチ・アビエーション

わかりやすさを重視し、電車にのることと同じようなイメージで利用が可能。

 

現場と経営の乖離、当事者意識の欠如

「経営者は現場を知らず、現場は経営トップの問題と考えていた」

JALの再建における内情はこうなっていたようだ。

組織が大きくなればなるほど、現場と経営の距離は離れる

間に入る人が多ければ、伝達は面倒になる。

だからこそ、分社化、カンパニー制、などという形が生まれるのだろう。

だが、本質は変わるのか。

 

新たなビジネスチャンスはどこに?

「昨今、業界で注目されているのは、キャリアと商社や金融機関が共同で事業会社を作り、機体の購入、整備、パイロットの派遣業務を行うプロジェクトの提案」

新規キャリアでも簡単に、機体とパイロットの調達ができるように、

共同体が代わりに購入して、プールしてくれる。

既存の枠組みにとらわれない、新しい事業者が求められている。

そこまで硬直化しているということだ。

 

「世界で最も売れているジェット旅客機はB737A320

ともに150席クラスの小型機。

従来は燃費が悪く、大型機でなければ利益が出ないような路線であっても、技術進歩により小型機でも充分ペイするようになった。

これからはこのサイズの機体の需要が更に増える。

 

「始まったMROへの取り組み」

整備事業と検査、改修でMROという。

中国やシンガポールでは、国策としてこれらの事業を進めている。

日本では、ANAが沖縄で本腰を入れ始めた模様。

 

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