【読書】ちょっと今から仕事やめてくる/北川恵海 働く人たちに向けた優しい物語
なあ、お前、本当は俺の同級生じゃないだろう
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キャッチーなタイトルである本作。
働く人たちに向けた優しい物語。
主人公の隆はブラック企業につとめる入社一年目のサラリーマン。
憂鬱な平日を過ごし、休みの日はひたすら体を休める。
暗い日々を過ごし、彼は線路に飛び込もうとした。
その時に現れた男、ヤマモト。
隆はヤマモトに助けられた。
彼は隆の同級生だという。
しかしながら、隆の記憶にはそれがない。
彼らは仲良くなり、一緒に行動するようになる。
のちのち隆はヤマモトのことが気になりだす。
彼は誰なんだろうか、と。
そしてネットで記事を見つける。
それはヤマモトと同姓同名の男が三年前に死んでいるというものだった。
不思議な男ヤマモトとどこにでもいそうなサラリーマン隆の優しい物語。
皆苦しい中で自分を探している
「みんな同じだ。苦しんで、もがきながらも、なんとか自分の道を見つけようと模索している」
隆は旧友と話し、思う。
順風満帆な人生をおくっているような人間でも苦しんでいる。
人はそれぞれ違った悩みをもっており、また自分の道を探している。
もがきながらも何かに向かって歩き続ける。
それが人間であり、人はお互いに悩みを共有することで元気になれる。
自分の命は自分だけのものではない
「一回でも、残された者の気持ち考えたことあるか?」
ヤマモトは自殺しようとした隆に対して、こう言う。
自分ではなく周りのことを考えたことがあるかと。
ヤマモトは昔、自分の身近な人を自殺で失っていた。
彼はその時、周囲の人間たちが辛く悲しい思いをすることを知ったのだ。
なぜ、助けることができなかったのかという自責の念だ。
仕事はすべてじゃない。視野がせまくなっているだけ。
「仕事なんてそんな気持ちで決めるもんじゃなかった。次は本当にやりたいことを見つけます」
隆は内定をもらえたから今の会社に入社した。
しかし、彼は気づく。
会社にはそんな気持ちで入るのはおかしいのだと。
会社にいて、やりたいことが出来るのならばそこにいればいい。
そうじゃなければさっさと辞めるべきだ。
無駄に精神をすり減らす必要など無いのであり、また会社なんて世の中には無数にある。
会社をやめることなんて死ぬよりもずっと簡単なのだから。
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