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aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】聖の青春/大崎善生 羽生善治を追い詰めた棋士、村山聖

ここに描かれているのは、彼の魂がこもった記録

聖の青春 (講談社文庫)

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彼は病と戦いながら、駆け抜けた。

29年間という短い生涯であったが、様々なものを残した。

 

死を見つめながら、病院のベッドの上で将棋を覚えた。

そこから名人を目指すまでになった。

プロになり、西に村山、東に羽生。

そう呼ばれるまでに成長した。

 

ここに描かれているのは、彼の魂がこもった記録。

村山聖の生き様に

「少年はありとあらゆる努力をし全精力を傾け、類まれな集中力と強い意志ではばたきつづけた」

必死の闘病生活、家族との絆、友情、そして師弟愛。

人間の生き様がすべてつまっている。

ドラマよりもドラマ。

一人の強い人間がここにいる。

 

思いの強さが人を大きくする。

生き様に感動する本にどれだけ会えるだろうか。

この本は間違いなくその中の一つ。

 

 

時間の大切さをわかっている村山

「谷川を倒すには、いま、いまいくしかないんじゃ」

名人である谷川のことを指し、聖は言う。

プロになってすらいない彼は言うのだ。

家族を説得し、大阪に行くことを主張する。

全身全霊をかけて、名人になるために。

中学生がここまでの発言をできるのは、自分に残された時間が限られていると理解しているから。

自分の先を見据えた上での判断があるからこそ。

死を意識する年齢とは程遠い彼の言葉に感涙する。

 

「1年、と大人は簡単に言う。しかし、同じ1年でも意味が違う」

人は年を取るごとに1年の重みを感じなくなっていく。

たった1年、されど1年。

その1年の時間を理解できている人がどれだけいるのだろうか。

彼の1年は。

 

読みの深さ、村山の台頭

「東に天才羽生がいれば、西には怪童村山がいる」

村山の強みは終盤の読み。

周りの棋士も一目置く読みの深さと正確さ。

彼が詰むといえば詰む。

自ずと彼の周りには人だかりができるようになった。

 

本音と建前、そんな時間は不要だ

「人間の駆け引きとか狡猾さを学習する時間はなかった」

村山は本音をストレートに話す。

いつでも、誰に対しても。

それは彼が、駆け引きと狡猾さを不要だと判断したからかもしれない。

そんな薄っぺらい表現で人に伝えることを嫌う。

時間をかけることを好まない彼の性格の現れであろう。

 

 

生と死を常に感じながら、彼は生きている

「自分と世界の間にいつも横たわっている一枚の板のような存在」

彼は、世界といつも距離を感じている。

いつ、世界から切り離される時が来るのか。

他人よりも、死に近いところにいるから。

死を強く感じているから。

でも、だからこそ、彼は強く生きている。

その板を叩き続ける。

打破するために、不自由な運命をぶち壊すために。

 

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