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aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】コンビニ人間/村田沙耶香 コンビニこそが、私を世界の正常な部品にしてくれる

2016年7月の芥川賞を受賞した本作

コンビニ人間

新品価格
¥1,404から

作品の舞台はコンビニ。

今の時代に欠かすことのできない場所である。

 

主人公は36歳独身女性、職業はコンビニ店員。

幼少の頃、彼女は世界との繋がり方に関して悩んでいた。

なぜ普通でなくてはならないのか。

普通とはなんなのか。

 

誰が決めたのでもなく、普通は存在している。

だが、その普通に迎合できない人間もいる。

そんな人が唯一、社会と繋がるようになれた場所がコンビニであった。

 

ありふれた場所であるコンビニは世界の縮図なのかもしれない。

社会のハブかもしれない。

 

人と社会との繋がり、そして人のあり方を考えさせる作品。

コンビニという空間 

「朝という時間が、この小さな光の箱の中で、正常に動いているのを感じる」

コンビニに対する主人公の気持ちを表した一節。

小さな光の箱という言い得て妙な比喩は、希望をも見せてくれる。

24時間営業しているコンビニの中に朝は来る。

 

 

均一化するコンビニは社会の縮図

「いろいろな人が、同じ制服を着て、均一な店員という生き物に作り直されていく」

店員という殻をかぶることで、皆が均一になる。

それそのものが生き物であるかのごとく。

社会というものは、人間を均一化し、社会人というものに作り変える。

なぜなら人間は死んでも社会は行き続けるから。

中身が変わっても、箱が変わらないようにするためには均一化が有効な手段なのだ。

 

世界との繋がりを保つ場所

「朝になれば、また私は店員になり、世界の歯車になれる」

人間関係に苦労していた彼女は、店員という均一な存在になることで世界との繋がりを得た。

彼女は自分の軸となるものを、マニュアルに求めたのだ。

マニュアルに従っていればその空間において正しく存在できる。

 

無意識に、異質を拒む大衆

「皆、変なものには土足で踏み入って、その原因を解明する権利があると思っている」

普通とはなんだろうか。

人は、自分とは違うものに対して差別をする。

自分とは違うカテゴリであると認識し、そして安心するために。

多数決、多いほうが正しいという暴力的とも言える原理を振りかざして。

 

軸を人から与えられなければ

「コンビニにとって合理的かどうかで判断していた私は、基準を失った状態だった」

人は考え方の軸を有する。

彼女の場合はそれがコンビニであった。

人間の軸は触れ合う他人によって形成される。

親しい関係の人間たちの平均として形成される。

その形成された人間は、どこまでが本当の自分なのだろう。

自分はどこで形成されるのか。

世界は徐々に均質化されるのだろうか。

 

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