aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】三人の悪党 きんぴか①/浅田次郎 カッコいい悪党の生き様

三人の悪党の物語

三人の悪党―きんぴか〈1〉 (光文社文庫)

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元ヤクザであり、敵対する組の親分を殺して13年服役したピスケン。

単身クーデターを起こし、自殺未遂を図った元自衛官である軍曹。

収賄事件の罪をかぶり、大物議員に捨てられた秘書のヒデさん。

 

彼らは揃いも揃って悪党だ。

価値観や育ってきた環境は全くのバラバラ。

 

彼らはあるきっかけから仲間となり、巨悪に立ち向かうことになる。

 

この小説は悪人が多く出てくる。

しかし、そんな彼らの中にも魅力はたくさんつまっている。

性善説かつポジティブな物語

 

 

成功体験が、自分を盲目的にしている

「挫折を知らない分だけ、単純なんだ。そんな奴らに世界を支配されてはたまらない」

キャリア官僚たちを揶揄した言葉。

ずっと成功してきたから、失敗を知らないからこそ、単純になる。

自分の進んでいる方向は間違っていないと思い込む。

自分の成功体験が、自分を盲目的にしている

逆に、失敗や挫折をしている人間の方が、自分のことを俯瞰的に見ることができる

 

 

使命を心に

「ジャーナリストとしての使命に燃えているのはせいぜい何年かのことで、そのうち自分が他人の労苦や災難をメシのタネにしていることに気づくんです。」

こういう気持ち、ジャーナリストだけではないだろう。

世の中の大半の仕事は困っている人がいるから、その人達を助けるために行われている。

いつの間にか、人を助けるという使命を忘れてしまい、金儲けにしか目が向かなくなることもあるだろう。

いつも使命を心のなかに持っておく。

それだけは忘れてはならない。

 

安らぎの場所

「みんなが同じ目の高さで暮らして行ける、それが家族の安息よ」

妻が夫に向かって言った言葉。

家族というのは安らぎの場所。

肩肘張っていては本当の家族にはなれない。

この物語の登場人物は皆、本当にいい人。

いかに悪い側面を持っていても、芯はずれていない。

 

外交の責任

「俺は許せなかったのだ。ヘタクソな外交のツケを、俺たちの血で贖おうとした連中が」

戦争は外交が上手くいかず、最後の手段として使われる。

自分の失敗を棚に上げ、他人に迷惑をかける。

そこに因果があるとは思っていないのだ。

外交は貸し借りの世界という意識が強いが、本来はみんな人間なのだからもっと平和にいきたいものだ。

 

現状維持は後退か?

「古い物が何でも誤りで、新しい物なら何でも正しいとする社会を、ああいう方法でたしなめたんだ」

人は新しい物に飛びつく。

何となく新しいモノのほうがいいような気がする。

中身をちゃんと理解し、比べてからの判断であれば問題ない。

だが、新しい=いいという論理は破綻している。

思考停止ゆえの逃げだ。

変化が悪いとは思わないが、現状維持という選択もあるのではないだろうか。

成長ばかりを追い求める今の日本の経済も。

 

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