【読書】吉祥寺だけが住みたい街ですか?/マキヒロチ 物件探しがお客さんの人生と街の風景が交じり合った美しい物語に
物件探しがお客さんの人生と街の風景が交じり合った美しい物語に
そろそろ引っ越したいと考えている僕。
でも、正直、東京はどこに住めばいいのかわからない。
何となく吉祥寺に憧れる気持ちはある。
そんな中で出会ったのがこの一冊。
タイトルに惹かれちゃいました。
あとは、「いつかティファニーで朝食を」の人なんですよね、マキヒロチ。
主人公は吉祥寺にある不動産会社を営む双子の姉妹。
そこには、吉祥寺に住みたい人々が部屋を探しにやってくる。
だけども彼女たちは、吉祥寺以外の物件を紹介する。
最初は、どこに連れていかれるのかと不安になるお客さんも、
彼女らが語るその街の魅力に惹かれていく。
読者もその街に住みたくなるほど。
第一巻は「雑司が谷」、「五反田」、「錦糸町」、「駒沢大学」そして「中野」。
どこもそんなに身近ではない街だが、魅力たっぷりに描かれている。
正直、この中から引越先を決めようかとも思うほどだ。
雑司が谷
雑司が谷は、都心に近く便利だけれども、静かな場所。
「好きなとこが1つでも見つかれば、引っ越すには充分な理由でしょ」
五反田
五反田は、意外とビジネス街で飲食店が多く、街の賑わいを感じることができる。
「街も人も自然が生きてる感じがしてステキです」
錦糸町
錦糸町は、大きな公園もありショッピングモールもあり、ファミリー層が多い。
そしてスカイツリーが近い。
「結婚する前に住んだことない街に飛び込んでみたい!ってニュアンスだったら、錦糸町がいいんじゃないかなって思ったんだよね」
駒沢大学
駒沢大学は、オリンピック公園や商店街など上品でオシャレな街。
最近の東京の街は、どの駅に降りても同じ風景に見えたりする。
だけども、その中でシャッター街になっている商店街があることは一種の安心感を与える。
「こういう街があるとホッとする」
中野
中野は、ブロードウェイだけでなく、サブカル系のお店がたくさん。
商店街の宝庫でもある。
「本当に欲しいと思えるものが1つある人生が私はいいなぁ」
部屋を選ぶときに、人の人生や生き方とその街の風景が交じり合って美しい物語になる。
爽やかな読後感と、明日も頑張ろうと元気を与えてくれる。
引っ越ししたいという欲望も添えて。