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aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】空の境界(上)/奈須きのこ 魔術師が存在する世界で、彼らが織りなす物語

生きているのなら、神さまだって殺してみせる

伝綺ノベルである本作。

ゲームのシナリオライターとして有名な奈須きのこ

登場人物たちがひたすらカッコいい

空の境界(上) (講談社文庫)

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魔術を使える人間が存在する世界で、彼らが織りなす物語。

「生きているのなら、神さまだって殺してみせる」

主人公は二重人格を持つ少女、両儀式

本作には時系列バラバラに7つの物語が存在する。

上巻には1章から3章までが収録されている。

 

上巻では物語全体の半分も進んでおらず、全体観は見えてこない。

しかしながら、魅力的な登場人物たちと世界観に引き込まれることは間違いない

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1章、俯瞰風景

意識と身体が分裂してしまった巫条霧絵。

飛ぶということに憧れを抱き、いつの間にか身体から意識が脱出してしまった。

両儀式の友人である黒桐幹也は巫条霧絵の意識に誘われてしまう。

彼を救うために幽霊と戦うことになる。

 

「人が死ねばその者の記録は消えるのか?消えないだろう?
観測者が残っているかぎり、あらゆる物は無へ突然に消失するわけじゃない。無へと薄れていくんだ」

人間の生と死に関する考察。

人に忘れられたときに、始めて死ぬ

それまでの時の経過はすべからく一定ではない。

たまに思い出すことがあるからこそ、存在する。

 

「死と直面した瞬間しか、生きていると実感できない」

生きていることが当たり前だから、一日一日をさほど重視しない。

むしろ意識していないからこそ、できているのだ。

死というものと直面した時にようやく、自分は生きているのだと感じる

生きていることを尊く思う。

平和な国で安定して生活できているという幸福を忘れてはならない。

 

 

2章、殺人考察(前)

1章よりも2年前の話。

両儀式が高校生だったころの話。

彼らは連続殺人事件に巻き込まれる。

黒桐は始めて式の二重人格に触れる。

この事件を境に、式の二重人格である織は姿を消すことになる。

 

「子供の頃はお化けが恐かった」
「けれど今は人間が恐い」

子供の頃は人間は皆、自分のことを無条件に愛してくれるものだと信じている。

だが、年を取り、成長を重ねると、そうではないことを実感する。

本当に恐ろしいのは、目に見えない、人間と異なる何かではない

姿は同じだが、様々な内面を持っている人間なのだ。

 

3章、痛覚残留

黒桐の妹、鮮花のクラスメイトである浅上藤乃

彼女は物を曲げるという特殊能力を持つ。

殺戮を繰り返す藤乃は式と出会う。

両儀式と同類であるが、自分では同類と認めたくない。

殺人自体は目的ではなく、手段であると自分に言い聞かせて。

 

「手段と目的が入れ替わっちまってるからな」

式が浅上藤乃を評する言葉。

手段であるはずの殺戮が目的になっている。

見せかけの目的を達成しても、本来の目的が達成されていないため止まることはない。

正しい方向に向かっていることを、俯瞰して確認する。

なかなかできないのだ。

 

「無駄に無駄を重ねていくと、いつかは何か出来ると思う。
人間は無駄を行なう生物なんだ」

無駄というものは誰が決めるのだろうか。

世間一般では無駄だと思われても、自分にとって意味があればいいのだ

誰しも同じ考えを持っているわけではない。

傍から無駄と思われている行為こそが、有意義だったりすることは多い。

他人に迎合するだけでは生きているとはいえないのかもしれない。

 

「罰っていうのは、その人が勝手に背負うものなんだと思うんだ」

自分の価値観に照らし合わせて、自分自身に重荷を背負う

社会的に罰を受けなくても、自分自身で負っている。

誰も許してくれないからこそ、自分でも許すことができない。

 

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