aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】カイの悲劇/森博嗣 天才の天才たる由縁、それが絶対

過去から現在そして未来へ、人は生きていく

χの悲劇 G (講談社ノベルス)

真賀田研究所でプログラマーとして働いていた島田。
今は香港を拠点とする会社で働いていた。
人工知能に関するエキシビジョンの日、島田は遠田と言う男に航空機事故に関する質問をされた。
その後、トラムの中で彼は殺された。
その背後に感じられるのは大きな陰謀。
密室の中で殺人を犯したのは誰か、疑われたのは誰か。

 

背後に動いている陰謀は誰が仕掛けたのか、そして追っている人間は誰なのか。
徐々にリンクしてくる物語。
他の物語たちとどのように繋がっているのか、それも今後楽しみである。

所詮は相対評価、絶対値を持っている人間は稀だ

「あっと言う間に職場の環境が変わってしまい、彼女が持っている技術が相対的に古くなってしまった」
技術というものは古くなる。
新しい技術が出てくるから、古くなるのだ。
世の中は絶対ではなく、相対で動いている。
変化を恐れていては、新しいものは出てこない。
新しいものを学ぶ、新しいものを作るという姿勢こそが常に求められる。
それはどこで働いていても同じであろう。
 

 

時間の経過、周りの変化は予測できない

「たくさんの仕事をしたけれど、それらは果たして本当に社会の役に立ったのだろうか」
島田は過去を振り返ってこう考える。
その一瞬、その場で、役に立ったことはあった。
だが、少し時間が経過するとたちまち 陳腐化してしまう。
ハードでも、ソフトでも、すぐに使えなくなってしまう。
それは自分が作り出したものに対し、劣化するという特性がデザインに盛り込まれていないからだ。

 

他人を気にすること、それがもはや凡人なのだ

「天才とは儚いものだとみなが語った、そして自分たちの社会を守ろうとした。 天才は寂しいものだとみなが感じた、そうすることで自分達を慰めたのだ」
真賀田四季に対して世間の評価はこうだった、初めは。
自分とは違う、虚しさを持っている、ということにして、自分と差別をした。
差別をすることによって、自分たちと比較されるのを防いだのだ。
だが本当の天才はそんなことを1ミリも思ってもいないし考えてもいない。
それだけ自分に自信があるから。
凡人は他人との比較で生きていく、天才は自分自身で生きていく。
その違いすらわからない程度に凡人なのだ。
 

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