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20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】本屋さんのダイアナ/柚木麻子 周囲の押しつけや思い込みという呪いから解き放つ

ガール・ミーツ・ガール小説

本屋さんのダイアナ (新潮文庫)

新品価格
¥680から

本以外に友達がいなかった少女に初めて友達ができる。

二人の少女の心の触れ合い、足らないものを補いあい、時に確執を生じる。

幼い彼女らが、少女を経て、大人になっていくまでを描く本作。

 

お互いに無いものを相手に求める。

お互いの家族を羨ましく思う。

相手の家庭に生まれたらどんなに幸せか、想像ばかりする。

 

ふとしたことで仲違いをし、10年以上も音信不通。

再び会うとき、彼女らはどれだけ成長しているのだろうか。

自分の殻を破った時、真の友達になれるのだろう。

 

若さゆえの失敗もあれば、大人びた考えもある。

難しい青少年時代を巧みに描く

本に潜む魅力

「なんだか違う世界に行けるみたいで」

小学生のダイアナが、本を好きな理由を聞かれた時に答えた言葉。

本は視点を与えてくれる。

世界を与えてくれる。

自分とは違った生き方や考えに触れ、別の世界に入ることすらできる。

共感して楽しいという感想以外にも、新たな発見をする面白さが存在する。

 

 

本質を見ないで表層だけを見る

「人の中身を見ずに、外見や親の職業で判断するようなのばっかり。自分たちは絶対正しいって思い込んでて、そのくせ狭い世界から出ようとしてない弱虫の集まりだよ」

名目やレッテルにより人を判断するのは簡単だ。

なぜなら、自分で考える必要がないから

自分で考えて、導いた結論に対して責任を持たなくていいから。

だが、そんな思考が止まっている世界が楽しいのだろうか。

自分が付き合う相手すら自分の考えで選ばないのだろうか。

考えるという行動が自然にできなければおかしいのだ。

 

「そう、名前とは、人生の道しるべになるのだ」

主人公のダイアナは自分の名前にコンプレックスを有する。

いかにその名前のお陰で人からいじめられたか。

それが原因で自分の卑屈な性格が形成されたのだと。

だが徐々に彼女の考えは変わってくる。

それだけじゃない、むしろ名前のせいにして逃げている自分がいるのだ。

我々もそういうことをして逃げてはいないだろうか。

 

一歩踏み込む力

「誰かに何かを与えてもらうのを待つんじゃなく、欲しいものは自分で掴んで欲しいんだ」

人は何かに甘える事が多い。

例えば親に、友達に、同僚に、先輩に、会社に。

無条件で甘えていいのはどこまでだろうか。

例えば自分のやりたい仕事を待っているだけでいいのだろうか。

自分から取りに行くことが必要なのだろう。

自分では届かないかもしれない、だけれども、手を伸ばしていく。

主体的に取った行動というのは自分のモチベーションを上げることにも繋がる。

行動することがいかに大事か、小さな少女に教えられる

 

「ロータリーを足早に行き交う人々は、誰もが目的を抱いて、目指す場所へと進んでいるように見える」
「もっと堂々と落ち着いて振る舞って欲しいんです」

東京は歩くスピードが早い。

皆、誰もが目的を抱いて歩いているからだろうか。

そんなことはない。

むしろ、急いでいる自分を演出しているのだろう。

他人に影響されながらも、自分を守るために。

なぜかそんな人々を羨ましく思うダイアナがいるが、そう考える彼女の方がずっと大人であるし、思慮深い

自分に自信を持つことが一番なのだ。

 

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