aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】葉桜の季節に君を想うということ/歌野晶午 騙されたい人にオススメ

騙されたい人にオススメ

おすすめミステリーといえば、かなりの頻度で名前が上がる本作。

2004年にこのミス第1位をとっている作品。

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

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自称探偵の主人公が、悪質商法の調査に入ることに。

そんな中、偶然であった一人の女性は何者か。

 

とりあえず騙されます

鮮やかすぎるので、逆に合わない人も多いみたいですが、

ミステリーが好きな人は、ぜひ。

 

そして、終盤ではなかなか熱い言葉がある。

ミステリーにかこつけて、もっとがんばれよというエールを送っているのではと思わせるくらい熱い言葉が。

ある意味、社会に向けた小説でもあると思う。

 

 

「いいよなあ、いつも故郷にいられて」

地方出身者が東京出身者に向かっていったセリフ。
逆に東京出身者は、地方出身者に帰るところがあってうらやましいという。

東京は地方出身者の集まり。
あまり東京出身の人間はいないように感じている。
出てくる理由は、学問か仕事か。
どちらにせよ、人や企業、大学が集まりすぎているのだ。
もっと地方に移転すれば、人口過密やストレスの権化である満員電車はなくなるのに。
個人が動くよりも、大企業が数社移転するだけで大きく変わるだろう。

 

 

「友達とは、対等の関係にあることではないのか」

友達と呼ぶ範囲は、人によって違う。
価値観の違いでもあるだろう。
Facebookの友達になれば友達という人もいるだろう。
ある程度近くの距離になってようやく僕は友達だと感じる。

 

「地位とか立場とかができればできるほど、そういう見栄に縛られるものなのだよ」

例えば、正社員という立場ができるだけで、そこから外れるリスクに過度に怯えるようになる。
不便だけれども、立場があるのは便利なのだ。

 

「人はよく、「好き/嫌い」と「良い/悪い」を混同して評価してしまう」

行動の良い悪いと人格の好き嫌いは変わってくる。
例えば、その人の行動が嫌なことだとしても、立場上仕方ないということもある。
その行動だけで好き嫌いを判断するのは早計だ。
だが、付き合いの薄い人を評価する際には、往々にしてこういうことが起きる。
簡単に嫌いになっても、特に実害がないからだろうか。
好き嫌いの軸は自分の価値観に照らし合わせる必要がある。
価値観だけは、外野の言葉に簡単に左右されることのないように、強く持っておきたいものだ。

 

「非生産的な挑戦ってカッコいいよ。それが本当の文化だよ」

お金がもらえるからやることと何も得られなくてもやること。
後者こそが本当にやりたいことなのだ。
非生産的なことに時間をつかう勇気が求められるし、それこそがその人らしさを創っていく。

 

「自分は敵わないと思ったら、その時点でもう負けだ。
自分の可能性を信じる人間だけが、その可能性を現実化できる資格を持つ」
「何でもやってやりたくてもやれなくなり、そのうち何をやりたいとも思わなくなった。
世間はそれを「大人になる」と称する」

外野から何を言われようとも、自分の信念を貫き続けること。
そして、自分自身を信じることが求められる。

やりたいことを声を出すと、周りの大人たちから白い目で見られる
もっと現実を見ろと言われる。
会社に入るとそういうことをよく言われる。
だけど、声を上げなかったら今の停滞した、希望を持てない、誇りの持てない社会が続いていくのだ。
なぜ、それを受け入れてしまうのだろうか、諦めてしまうのだろうか。
少なくとも、他人を応援することのできる人間になりたい

 

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