【読書】働かないアリに意義がある/長谷川英祐 アリの行動の中に人間社会が見える本
アリの行動の中に人間社会が見える本
題名とゆるい絵に惹かれる本書。
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アリに見る集団としての行動原理。
群れの中には、働かないアリが存在する。
進化の過程でも淘汰されない彼らの存在は意味がある。
それを解き明かしていく本書。
集団行動というのは、人間社会でも非常に多く求められる。
会社ではもちろんのこと、県や国も集団である。
社会に属するからこそ、自分の欲望を曲げなければならないことも出てくる。
ではなぜ、社会に属しているのか。
それは社会があるからこそ生きていけるから。
アリの生態を学びながら、自分たちの生き方の参考にできる、そんな一冊。
「ハチやアリには司令塔はいないのです。
にもかかわらず、ハチやアリのコロニーは適当な労働力を必要なしごとに適切に振り向け、
コロニー全体が必要とする仕事をみごとに処理していきます」
人間の集団では、縦社会になっており、上流から下流に向かって命令がくだされる。
命令を下す司令塔と、実際に手を動かす労働者がいる。
それらすべての働きにより、全体を向かうべき方向に動かしている。
「ムシの社会は、仕事が生じたときに全体の情報伝達や共有なしに
コロニーの部分部分が局所的に反応して処理してしまう」
アリは司令塔なしでそれが出来る。
その秘密が働かないアリにある。
逆にいえば、働かない人がいれば、管理職はいらなくなるのでは・・・。
「大会社ほど取り換えの利く人材を使ってスピーディーに動いている」
アリも大きいコロニーほどテンポが速い傾向があるようだ。
そしてコストを考えると取り換えの利くようでなければ大きな組織は成り立たない。
組織に使われるコマにだけはなりたくないものだ。
「誰もが疲れる以上、働かないものを常に含む非効率的なシステムでこそ、
長期的な存続が可能になり、長い時間を通してみたらそういうシステムが選ばれていた」
企業は、長期的な存続が可能であればこそ、コスト削減という手法が可能になる。
その過程で消滅するようなことがあれば、効率というものは無意味になる。
果たして、今の大企業は20年後、どれだけ残っているだろうか。
「金銭的利益が経済適応度として一義的に重要視され、
経済圏が地域や国を超えて広がってしまった現在」
「組織の効率追求と組織自体が存続できる可能性の綱引き」
利益を得るということを過度に重視する今の社会。
経済という言葉が、お金儲けという意味にしか捉えられなくなっているのではないか。
ひたすら経済成長を求めるというのは、目的ではなく手段なのだということをそろそろ学んでもいいのではなかろうか。
アリに目を向けて。
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