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【読書】武士道エイティーン/誉田哲也 「私の剣道は、やっぱり、どんなに勝てても、邪道なんだよ・・・」

早苗と香織、そして周囲の人の視点から

武士道エイティーン (文春文庫)

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武士道シリーズ第三弾。

早苗と香織は高校3年生、そして卒業。

最後のインターハイで、決勝にて対戦を目指す二人。

果たして目標は果たせられるのか。

 

そして本作では彼女ら以外の脇役にもフォーカスが当たる。

彼女らの後輩である田原。

早苗の高校の顧問である伝説の男、吉野。

桐谷道場の師範。

 

周りにも魅力的な人物がたくさんいる。

そんな登場人物がいるからこそ、彼女らが輝くのだ。

 

周りの人間にどれだけ恵まれているのか。

今、現時点で考えることは難しい。

だが、いなくなってから、別れてから気づくこともあるのだ。

 

彼女達は高校2年になる前に、別々の道を歩み始めた。

正確に言えば、目指す方向は同じだが、道が違う。

にも関わらず、ふたりは心でつながっていた。

戦友と呼べるような、繋がり。

羨ましいと思う気持ち、皆感じるのではなかろうか。

人が夢中になる理由はどこに

「剣道はスポーツなのか、武道なのか」

剣道はオリンピック種目ではない。

剣道はスポーツなのか。

試合をする剣道はスポーツである。

なぜならルールにのっとって、点数をつけ、勝ち負けをつけるから。

実戦とは明らかに違うのだ。

だが、スポーツの中にも魂がある。

剣道をスポーツにするのか、武道にするのかは、やる人間による。

その人がどのような心を持って望むかが大きく左右される。

何でもそうかもしれない。

気持ちの入れ方によって、同じことをしていても結果が大きく変わることだってある。

なぜやるのか、なんのためにやるのか、考えることに意味がある。

 

 

思い入れの深さによって表現は変わる

「変わり種の剣道に、磯山さんの王道が勝った」

早苗は自分の剣道のことを変わり種という。

邪道とまでいう。

剣道に対する純粋な思い入れがあるからこそ出る言葉。

剣道は武道であり、武道たるものの真髄を見極める。

そこまで考えていなければ出てこない言葉であろう。

単純に隣の芝が青く見えているだけかもしれないが。

 

自分以外のせいにすれば楽になれる

「認めたくなかった。まだ別の、何ものかのせいにしていたかった」

伝説の男、吉野。

福岡の暴走族相手に大立ち回りを演じ、その後公式戦から姿を消した男。

彼も悩んでいるときがあったのだ。

自分自身に原因があると思いたくないが故に、周りのせいにする。

自分の身を守ることになればいいのだが、あとで後悔するかもしれない。

なぜ、あの時もっと頑張っていなかったのだろう、というように。

 

 

自分の頭で考えることこそ、道理なのだ

「自分で考えろ、自分で考えて答えを出せ」

田原が香織にいつも言われていた言葉。

他人を真似することは得意だが、それ以上に自分で考えなければ伸びはない。

行動だけでなく、思考までトレースし、なおかつ自分のオリジナリティを入れる。

それが自分の中に取り込んだということであり、何かを得たということだ。

どんなに忙しい毎日であったとしても、考えることを辞めてはいけない。

 

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