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aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】その女アレックス/ピエール・ルメートル 被害者不明の誘拐事件

女はアレックスというのだ。いや、アレックスといったのだ。

その女アレックス (文春文庫)

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一人の女性が誘拐される。

誘拐が発覚したのは目撃者がいたから。

監禁場所が見つからない。

 

だが、誘拐された女性の身元がわからない。

だれも捜索願を出さないのだ。

被害者は誰

 

加害者の側から判明し始める。

疑われたのは中年の男性。

警察に気づき彼は逃走、そのまま飛び降り死んでしまう。

女性の身元と監禁場所は依然として不明。

 

加害者は被害者の女性と交際していた男の父親だと判明する。

その息子は現在行方不明。

捜査を重ねる内に、息子の死体が発見される。

女性が暮らしていた場所で。

 

女性の身元が判明したかに見えた。

そして彼女は硫酸を使用する殺人犯かもしれない。

被害者が突如、加害者に代わる。

捜索ののち、女性の監禁場所が偶然判明、そこに行ってみると既に脱出した後であった。

彼女はどこへ行ったか、なぜ逃げるのか。

 

どんでん返しを楽しむストーリーかと思いきや、最後は複雑な気持ちになる。

ただの殺人鬼でしかないと思っていた人間が、実はそこに至るまでちゃんとした理由があった。

加害者は被害者でもあった。

そんなときに、人間はどういう判断をするのか。

何が正しいのか。

復讐というものに対してアレックスは問いかけを放つ。

使い分ける顔 

「長年仕事を共にしてきた仲間のこととなると、こいつのことはなんでも知っていると思い込みがちだが、実は何も知らないのだ」

仕事の顔とプライベートの顔は往々にして異なる。

仕事をするときは、仕事モードの人間になる。

昔は職場が家族だったと言われているが、いまはもうそんなことはない。

過度な付き合いはなくなっているが、逆に言えばドライな関係になっているのだ。

会社と従業員の関係性も。

 

 

焦りが生まれるものは少ない

「もっとも優先すべきはなにもしないことである」

やるべきことが多すぎるとき、何から手を付けていいのかわからないとき。

職場でもたまに出会う光景だ。

そんなとき、何からやったらいいのだろうか。

カミーユ刑事はこう言っている。

頭をすっきりさせて落ち着くことが重要なのだ。

忙しぶっている人が多すぎる。

 

あえて見ないのは逃げているだけ

「あれこれ迷うのは、議論の余地のない選択をごまかしの理屈で覆い隠して、見ないようにするための手段にすぎない」

世の中には避けられないものがある。

あれこれ理由をつけて、そこから遠ざかることはできる。

見ないようにしているだけだが。

どうせ避けられないのならば、いつ覚悟を決めるかだ。

 

サスペンスから問いかけられる社会正義

「われわれにとって大事なのは、警部、真実ではなく正義ですよ」

人が人らしくあるために、何をするべきか。

最後にこの小説は問いかける。

法律は人間が作ったもの。

人間が作ったものだから完璧ではない。

どちらに手を差し伸べるべきか。

簡単に答えはでない。

 

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