aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】ようこそ、わが家へ/池井戸潤 弱い主人公の頑張りから、勇気をもらえる

柔らかそうなタイトル、そしてなぜか少し暗い印象を受ける表紙

ようこそ、わが家へ (小学館文庫)

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¥751から

このアンマッチに興味を惹かれる一冊。

 

主人公の倉田は、銀行からの出向者であり、池井戸作品のうち、もっとも弱い主人公である。

彼は駅のホームで、男を注意する。

するとその日から倉田家に対する嫌がらせが始まった。

徐々にエスカレートする嫌がらせは、盗聴まで判明した。

嫌がらせをする犯人を明らかにし、平穏な日常を取り戻すために彼ら家族は対決する。

 

また倉田は会社でも窮地に陥る。

不正を糾弾した営業部長にやり返され、社内でも苦しい立場になってしまった。

彼は良かれと思って行動している、だがそれが所詮は出向者という視点で歪められる。

そんな苦しみを味わっている。

 

今までの池井戸作品は、歯に衣着せぬ強い主人公が多かった。

だが、今回は違う。

普通の、むしろ弱いと思えるような気の小さなおじさんなのだ。

彼の頑張りを見ながら、何か勇気をもらえる。

そして読了後のタイトルを見て、もう一度ふるえる。

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