パウロ・コエーリョのアルケミスト。夢を追う少年の物語。あきらめずに、前だけをみて信じぬく彼の強さに、我々は何を学べるだろうか。
スケラッコの盆の国。お盆にはご先祖様が帰ってくる。その姿が見える少女、秋。彼女が巻き込まれた不思議な世界と不思議な人たち。人恋しくなる季節に。
塩田武士の騙し絵の牙。小説の主人公のモデルが大泉洋。そんな面白い試み。しかしその内容は、重厚感のある社会派小説。座して読むべし。
誉田哲也のプラージュ。訳アリの人間たちが集まるシェアハウス。彼らから見る社会とそこに再び交わろうとする前科者たちのふるまい。我々はどうするべきなのか。
宮下奈津のスコーレNo.4。一人の少女が大人になっていくまでの過程を描く。その間には幾多の困難が待ち受ける。人は困難を乗り越えて、成長していく。自分にも置き換えてみてほしい。きっと前向きになれるから。
長江貴士の書店員X。書籍名を隠して売るという、そんな奇抜な発想ができたのはなぜか。彼がそうしたのか、彼がいる空間がそうしたのか。書店の新たな広がりを知る。
伊坂幸太郎のアイネクライネナハトムジーク。連作の短編集は救いそして友愛のストーリー。世界は立派な人間だけで出来てはいない。
湊かなえのNのために。登場人物はみなNを頭文字に持つ。誰が誰のために、何をしたのか。次第に明らかになっていく真実。隠したかったものは何か、かばいたかった人は誰か。
貫井徳郎の私に似た人。テロが日常的に起こるようになった日本。そこに住んでいる人々は、いまの現代日本とあまり変わりがない。逆に言えば、いまこうなってもおかしくないのかもしれない。
横山秀夫のクライマーズハイ。1985年の御巣鷹山の事故を題材にした小説。報道の正義はどこにあるか。報道は誰のために存在するのか。記者の葛藤と、仕事に対する情熱を目の当たりにする。
江上剛の翼、ふたたび。破綻したナショナルフラッグキャリア、JALをモデルとした小説である。彼らがどのように意識を変え、社員がどのようにして生まれ変わったのか。そこに学ぶのは、サービスの心。
松岡圭祐の黄砂の籠城(上巻)。義和団に囲まれた先進国の集団。彼らは烏合の衆である。その中でリーダーシップを発揮したのは日本人であった。現代日本に足りないものがここにある。
森博嗣のカイの悲劇。当初からの登場人物、島田。彼女は現在香港にいる。彼女が巻き込まれたトラムの中での殺人事件。その背後にいるのは、またしてもあの人の影。露わになってきた黒幕との距離。果たして本当に近づいているのか。
田中隆之の総合商社。日本にだけ存在する総合商社という企業たち。彼らのビジネスの変遷、そして広がり。なぜ生き残ることができたのか、そして彼らはどこへ向かうのか。
森博嗣のキウイガンマは時計仕掛け。宅配便で届いたキウイ。それには奇妙な細工がしてあった。まるで手榴弾に似せたかのように。この作品を読み終えた後、残るのは三冊。どこで、誰が、物語に終止符を打つのか。
宮部みゆきの長い長い殺人。殺人事件を語るのは関係者たちの財布。彼らは毎日、一番近い所から見ているのだ。長い長い物語は、やがて一つに収束する。
早見和真のイノセント・デイズ。この小説は、主人公である女性が死刑宣告を受ける場面からスタートする。彼女の周囲が語る彼女の人柄は、世間の認識と大きく乖離がある。果たして真実はどこにあるのか。
浜口倫太郎の22年目の告白 私が殺人犯です。殺人犯が時効成立後に、告白本を出す。それは許される行為なのか。そしてその目的とは一体。社会の怖さを思い知る一冊。
松岡圭祐のシャーロックホームズ対伊藤博文。名探偵と総理大臣、それらの垣根を取り払って、彼らは相見えた。日本の史実とコナンドイルのフィクション、それらが融合した時、世界は新たな一歩を踏み出す。
村上世彰の生涯投資家。村上ファンドを率いて世間を騒がせた村上世彰。彼はメディアというフィルターを通して、マイナスな面ばかり語られてきた。本当のところはどうなのだろうか。
森博嗣のジグベータは神ですか。宗教施設で発見された女性の死体。同じ施設で真賀田四季そっくりと人形が発見された。瀬在丸紅子が登場し、物語は佳境に向かっている。
羽生善治の大局観。読みと読みのぶつかり合いの将棋界を牽引する羽生。年齢を重ねるごとに強くなる大局観、その極意がここにある。
道尾秀介の満月の泥枕。娘を失った男、母に捨てられた少女。ワケアリの人々が織りなす心温まる物語。ここには優しい世界が広がっている。
池井戸潤のアキラとあきら。子供の頃から互いに運命を背負った彼らが交わるのは銀行。そして二人はまた別の世界へ。だが彼らの生き様と魂は繋がっている。バンカーから経営者へと次元は上がっていく。
誉田哲也のケモノの城。人は全てを支配された時、ケモノと化す。人間からケモノに変化する過程、そしてその末路。この本は目を背けたくなるほどリアルに描いている。果たしてこれはフィクションの世界だろうか。
原丈人の公益資本主義。会社は何のためにあるのか。会社は社会の公器である。株主以外のステークホルダー、従業員や地域社会、消費者もそうだ。それら全てにとって意味のあるものにすること。
森博嗣の目薬アルファで殺菌します。ゆっくりと徐々に広がっていく真賀田四季の存在感。それは人類を使った壮大な実験なのか。
森博嗣のイータなのに夢のよう。不思議な場所で相次ぐ自殺。そばにはギリシャ文字が置いてある。いつになったら姿を表わすのか、真賀田四季。
湊かなえの告白。女教師は自分の娘を殺した犯人に、自ら復讐をする。司法の裁きに任せるのではなく、無慈悲なクラスメイトの中に放り込んだ。簡単な結末を見させてくれない。
原田マハの楽園のカンヴァス。二人の偉大な画家、ルソーとピカソ。彼らの交わりはやがて一つの大作を作り出す。時を超え、大作を巡り、二人のキュレーターが対決する。臨場感あふれる一冊。