aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】Nのために/湊かなえ 人は誰かのために嘘をつく

N、それは誰のことか。誰を愛しているのか。

Nのために (双葉文庫)

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高層マンションの一室で、そこに住む夫妻の変死体が発見された。
そこに居合わせたのは20代の男女4人。
彼らの証言は、次第に事件の真実を明らかにしていく。
その過程の中で見え隠れする彼らそれぞれの思い。

 

彼らは皆、誰かのために何かをしている。
それにより事件の全貌が見えづらくなった。
タイトルにもあるNのために。
このNは一体誰だろうか。
物語に出てくる登場人物は皆、Nの頭文字を持っている。
最後まで読んだとき漸く、このタイトルの意味が分かるのではなかろうか。
ミステリーと言うだけでなく、純愛ストーリーのジャンルにも入一冊だ。
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【読書】私に似た人/貫井徳郎 テロが日常的に起きる社会で 誰かを信じる事は出来るだろうか

幸せか不幸かなんて要は主観

私に似た人 (朝日文庫)

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¥842から

小規模なテロが頻発するようになった日本。
実行犯たちは実生活では全く接点がない。
しかしながら、彼らは一様に、冷たい社会に抵抗するレジスタントと、自分のことを称していた。
この物語には10人の主人公がいる。
彼らはそれぞれテロに関わらざるを得なくなった人物である。
大切な人を失ったもの、テロを起こす犯人、警察官、テロに共感を覚えるもの、煽動しようとするもの、テロにも社会にも無関心なもの。

 

様々な人間たちが織りなし作られていく日本の姿。
現代社会と何が違うだろうか。
フィクションでありながら、なぜか身につまされる思いを感じる。
その原因はどこにあるのか。
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【読書】クライマーズハイ/横山秀夫 未曾有の航空機墜落事故で向き合う職業への覚悟

御巣鷹山の事故当時、著者は地元紙の記者であった

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

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¥778から
(2017/8/20 22:00時点)

1985年、御巣鷹山に 未曾有の航空機墜落事故発生。
地元紙の遊軍記者、悠木が全権デスクに任命される。
報道という窓口を通して、事故現場の様子を伝える彼等。
その中で、様々な葛藤がある。
いかに他社よりも早く記事を出すか、しかしながら十分な裏とりが必要である。
その狭間で揺れ動く。

 

また、読者に対しどこまで寄り添うか。
どの記事がどういう影響を与えるか。
そこまで全て、含んだ上で彼らは記事を書く。
それが 報道という職業に関わる人間たちの覚悟かもしれない。
今一度自分の職業に対する覚悟を思い出す。
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