aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】総合商社/田中隆之 その強さと日本企業の次を探る

総合商社とは一体何なのか

総合商社――その「強さ」と、日本企業の「次」を探る(祥伝社新書)

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就活で人気のある企業、総合商社はよくその中に含まれる。
商社ってなんだ、と疑問に思ったことは無いだろうか。

 

五大商社と呼ばれる会社がある。
彼らは似ているようで、異なったビジネスを行っている。
その証拠に2016年度は今まで首位を走っていた三菱商事、そして2を走っていた三井物産が赤字に転落。
3位に甘んじていた伊藤忠商事がトップに躍り出た。

 

その違いはどこにあるのだろうか。
何処にあったのだろうか。
日本にだけ存在する総合商社という企業たち。
なぜ生き残ることができたのか、そして彼らはどこへ向かうのか。
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【読書】キウイガンマは時計仕掛け/森博嗣 誰かが死んでも誰かが補う

集団で生活する人間の強さ

キウイγは時計仕掛け KIWI γ IN CLOCKWORK (講談社文庫)

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宅配便で届いたキウイ。
それには奇妙な細工がしてあった。
まるで手榴弾に似せたかのように。

 

建築学会に殺人者の影。
その夜、学長が射殺された。
謎に学会参加者のいつものメンバーが挑む。

 

このシリーズは森博嗣の作品の中でも 不思議な位置付けだと感じている。
それは1冊で完全に解決しない点だ。
一義的には犯人は見つかり、それらしい動機も現れてくる。
だが本当のところは分からない。
なぜならあえて答えを書いていないように見えるからだ。
その狙いはどこにあるのか。
この作品を読み終えた後、残るのは三冊。
どこで、誰が、物語に終止符を打つのか。
どうやって終止符が打たれるのか早く読みたい。
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【読書】長い長い殺人/宮部みゆき 殺人事件の顛末を財布が語る

財布はいつも見ている我々の一番近い所で

長い長い殺人 (光文社文庫プレミアム)

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主役は財布。
財布たちが語る1つの事件に関する物語たち。
はじまりはひき逃げであった。
それが実は殺人事件だった。
被害者は男性、疑わしいのはその妻。
夫を引いた人物がどうなったのか、それを一度も聞こうとしないのだ。

 

しかも、夫には8000万円の生命保険がかけられていた。
しかし妻にはアリバイがある。
果たして犯人は誰なのか。
刑事でもなく、犯人でもなく、彼らの財布が語る物語。
全部で10個の財布が物語の語り手となる。
刑事の財布、探偵の財布、目撃者の財布、そして死者の財布。
最後には犯人の財布まで出てくる。
ここまで不思議な ミステリーはなかなかない。
なぜ財布に語らせるのだろうか、宮部はこう語る。
「財布はその人の一番近くにいる。」
物語は模倣犯にもつながり得るストーリー。
自己顕示欲の強い犯人と、人の心を操るのに長けている人間。
世の中の闇は深い。
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