【読書】楽園のカンヴァス/原田マハ 夢を見ているように美しい絵でした
ルソーという画家に情熱を込めて向き合った彼らの生き様
ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティムブラウンはスイスの大豪邸に突如招かれた。
そこで目にしたものは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵画。
持ち主は、絵の真贋判定を正しく行った者にその絵を譲ると言い出した。
ライバルは日本人研究者、早川織絵。
絵の裏側に見え隠れする、ルソーとピカソの物語。
ルソーとピカソ二人の天才がカンバスに何を込めたのか。
なぜこんなにも描写が細かく、そして専門的なのか。
それは著者の経歴を紐解けば明らかだ。
彼女は昔、キュレイターの仕事をしている。
実体験を伴った著者によって紡ぎ出された臨場感あふれる緊迫の勝負。
そして美術品に見せられた人間達。
彼らは夢を追い求める。
作品の背後に何があるか、作品の背景はどうなっているのか。
そこまで理解してこそ美術品がわかるということなのであろう。
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ギリシャ文字のシリーズもついに5作目
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事件の関連性に気付いてきた人物も増えてきた。
Gシリーズも、もう5作目だ。
今回は完全に施錠されていた研究所で4人の自殺死体が発見された。
至近距離から撃たれており、全員のポケットにラムダに歯がないと書かれたカードが入っていた。
そして死体の歯は抜かれていた。
それが何を意味するのだろうか。
謎だらけの事件、今までのギリシャ文字の事件と共通するものなのだろうか。
Vシリーズに出てきた保呂草はこっそりと、しかし存在感のある登場をする。
探偵の赤柳は一体何者なのか。
事件の裏側には誰がいる?
「系列である可能性を疑ってかからないといけませんね。あるいはそれを偽装しようとしたのかもしれません」
連続したギリシャ文字にまつわる事件たち。
今回もその一つなのだろうか。
そうであれば裏側にいるのはもちろんあの人ではないだろうか。
常識的、平均的という誤魔化し
「考える人間の数が量的に多いか少ないかで、常識的平均的なものが決まっているにすぎない」
平均とは、そして常識とは一体何なのだろうか。
結局は固定観念でしかない。
その固定観念は何によって作られるのか。
人間の多数派の意思によるもの。
つまりは対して意味のないものというわけだ。
仕事は賃金との引き換え?
「仕事って大方つまらないもの。つまらないことをするから代償として賃金がもらえる」
犀川にとって研究は仕事なのだろうか。
どうやらそれは違うらしい。
彼にとって研究は仕事ではない。
研究ができるという餌で釣られて大学に勤めているが、そんなのはいつまでもさせてもらえない。
本来働くというのは楽しいから働くのであろう。
「人間って結局は自分の人生しか知らない。自分の時間しか経験していない」
他人の考えをどこまで深く理解できるか。
そこには結局、他人であるという大きな壁が立ちはだかる。
人間は自分自身の人生しか経験していない。
共通化することはなかなか難しいのだ。