aichikenminの書斎

20代サラリーマンが、読んだ本と、心に残った言葉、その時考えたことを徒然なるままに書き留めたもの(金融、理系、工学、航空機、読書)

【読書】総理の夫/原田マハ 全力でついていきたい、そう思える総理がここに

女性総理で世界は変わる

総理の夫 First Gentleman (実業之日本社文庫)

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¥690から

本日はお日柄もよく、で心を鷲掴みにされた原田マハ著作
その最新作である。
 
日本の総理は沢山いる。
それはなぜか。
一人一人の任期が驚くほど短いからだ。
それは総理に対する信頼のなさが起因しているのかもしれない。
本作は陰鬱な社会をぶち破るべく、まっすぐに走り抜ける女性総理の物語。
正確に言えばその女性総理の夫の物語である。
設定は面白い。

 

それ以上に中身はもっと面白い。
だから読んでほしい。
こういう政治家が現れるのを国民は待っているのではないだろうか。
若干焦点がぶれ、もやっとした発言ばかり繰り返す政治家たち。
彼らが行う政治というものに対して、国民は嫌気がさしてしまったのではないだろうか。
そう思っている人達に向けて、強くすすめたい一冊である。
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【読書】貘の檻/道尾秀介 読者に考える時間と空間を与える、それが小説なのだ

小説の良さがココに詰まっている

貘の檻 (新潮文庫)

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¥853から


この本は何と紹介したらいいだろうか。
なかなかいい言葉が見つからない。
長編ミステリーであるが、それだけではない。
小説の良さがココに詰まっている。
 
良い小説とは何だろうか、そもそも小説の魅力とは何だろうか。
それは読者が想像力を働かせるところにあると私は思う。
 
 
本作はミステリーの体系をとっている。
しかしながら合間合間に夢の世界が挟まっている。
純粋にミステリーとして読んだならば、それらの シーンは邪魔なものかもしれない。
逆に言えば、この小説はそれだけでも十二分に楽しめる。
 

 

皆が少しずつ少しずつ誤解をして生まれた大きな差。
それは悲しい事件へと豹変する。
登場人物たちが互いに少し、ほんの少しだけの読み違えだったのだが。
道尾秀介の上手さがここにある。
そして夢のシーンは何のためにあるのか。
それは僕も良く分かっていない。
ただの謎解きあれば、小説の形をとっている必要はない。
謎が解けることだけを魅力として捉えるのはいささかもったいない。
より想像力を広くすることで、この作品は化ける。
くっきりと解決するのではなく、読者に考える余裕を与える、それこそが小説。
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【読書】 依頼人は死んだ/若竹七海 このミステリーがすごい!

動機は、「たぶん暑かったから」

依頼人は死んだ (文春文庫)

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¥670から


女探偵、葉村晶。
彼女に持ち込まれる事件は、少し切なく、そして少し怖い。
 
2016年、女探偵・葉村晶シリーズは、このミステリーがすごいで2位を獲得。
シリーズの第1作がこの作品である。
アメトーークの読書芸人でも紹介されたらしい。
ミーハーな僕としては読まざるを得ない。
テレビなどで紹介される小説、逆に最近そのような逆輸入が増えてきた。
読書好きとしては好ましい限りである。
なぜなら、絶対自分が手に取らないような本を手に取る可能性が増えるから。
本の面白さを伝える、そして伝えてくれる媒体というものは人を豊かにする、そう僕は思っている。

 

 
主人公は仕事はできるが少し変わった女探偵。
本作の魅力は、切れ味鋭い短編のつながりと流れのうまさ。
誰かに狙われていると妄想を繰り返す女性、念願の詩を出版して順風満帆の生活を送っていた詩人、突如送られてきた癌の通知に当惑する女性。
一癖も二癖もあるような依頼人が彼女の元に押し寄せる。
そしてその裏側にある事件の奇妙な真相。
構成の上手さ、それが本作の魅力であろう。
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